試合中にチェックするポイントがわかると試合がもっと楽しくなる!【寝技 ポジション編】
こんにちは、ロジカルMMAです!
今回は「観戦力を養おう!」講座の第四弾です。前回に続き「試合中のチェック」です。
前回はグラップリングの中でも「組技」を取り上げましたが、

今回は「寝技」について取り上げていきます。
寝技の最終目的は、関節技や絞め技を極めて相手を戦闘不能にすることです。
しかし、いきなり技が極まることはほとんどなく、技を仕掛けるまでのポジションを作ることが超重要になってきます。
今回は「寝技」をさらに細分化して「ポジション」について説明します。
説明がくどくなったので、以下にこれまでの「観戦力を養おう!」の項目をまとめておきます。
- 「観戦力を養おう!①」:試合前のチェックポイント
- 「観戦力を養おう!②」:試合中のチェックポイント”選手編”
- 「観戦力を養おう!③」:試合中のチェックポイント”組技編”
- 「観戦力を養おう!④」:試合中のチェックポイント”寝技 ポジション編”(今回)

それでは頭の整理ができたところで、寝技の「ポジション」について学んでいきましょう!
寝技の「ポジション」
- ガードポジション(ボトムポジション)
- ガードポジション(トップポジション)
- マウントポジション
- バックポジション
ポジション1: ガードポジション(ボトムポジション)
最初は寝技の展開で最も多い「ガードポジション」です。
ガードポジションは必ず下になる選手(ボトムポジション)、上になる選手(トップポジション)で構成されます。
ここではガードポジションで下にいる選手のポジション、つまりボトムポジションの説明をしていきます。
ボトムポジションは下にいながらも自分の両足で相手の胴体を挟んで拘束できているため、必ずしも不利な体勢ではありません。
むしろRIZINで大旋風を巻き起こしている「ホベルト・サトシ・ソウザ」選手や「クレベル・コイケ」選手のように、ボトムポジションを得意とする選手もいます。
ボトムポジションからの攻めは両足で相手の頭や腕を絡めて最終的には関節技、絞め技を極めることですが、そのためには両足で相手の胴体を挟むだけではなく、両足を相手の頭・腕の位置まで登らせる必要があります。

ボトムポジションから足を登らせてくる状況
ボトムポジションが上手い選手を見ると、相手の上半身を上手く殺しながら両足をスムーズに登らせているのがよく分かります。
ポジション2: ガードポジション(トップポジション)
ガードポジションで上にいる選手のポジション、つまりトップポジションの説明をしていきます。
前述の通り、トップポジションの選手はボトムポジションの選手から両足で拘束されているため、上にいる割には必ずしも有利な体勢ではありません。
ちなみにこのポジションから相手を仕留める術はほぼパウンドしかなく、関節技、絞め技は極まりません。
こうなるとパウンドも警戒されるため、このポジションから相手を仕留めるのは実力差がない限り極めて困難と言えます。
そこでトップポジションにいる選手は、まず相手の両足の拘束を解いてパスガードしていく必要があります。
要は相手の両足に挟まれていた自分の身体を相手の両足の外に出して、サイドポジション、マウントポジション、バックポジションと有利なポジションを取っていく必要があるのです。
このパスガードですが力任せにやるとバランスを崩して逆にスイープを許してしまうため、相手の動きを支配しながら行う必要があります。
具体的には、自分の上半身では相手の身体を抑えつつも下半身は相手の両足から抜け出す動きをしないといけないのです。

上半身で相手の身体を抑えつつ、下半身は相手の両足の拘束を解いてパスガードを狙う状況
つまり上半身と下半身がまるで別の生き物のようにバラバラに動かす必要があるということです。

パスガードが上手い選手は、腰より上と腰より下の動きが独立して動いているので、是非チェックしてください。
ポジション3: マウントポジション
マウントポジションとはMMAで最も有利なポジションの一つです。
パウンドも関節技/絞め技も狙えます。
しかしながら安定させるのが意外に難しいポジションでもあります。
「馬乗りになっているのに返される?」と思うかもしれませんが、MMAの試合を見てもマウントポジションをリバーサルされているケースは珍しくありません。
リバーサルされてしまうパターンとしては、下になった選手が腰を突き上げて上の選手が跳ねのけられることがよくあります。

下の選手が腰を突き上げてリバーサルを狙う状況
乗る位置が相手の腰付近だと、相手の腰の突き上げをモロに受けることになるため、乗る位置を下の選手の腰の位置からズラすことで安定したマウントポジションをキープできます。
相手の腰以外に乗る代表的な手段として次の二つがあります。
1. 相手の胸の上に乗る

高い位置(腰より上)のマウント
一見、バランスが悪そうに見えますが、腰の突き上げの影響を避けられる上に、自分の両足で相手の両脇をカチ上げられるため支配力の高いポジションと言えます。
2. 相手の腰より少し下、股間の辺りに乗る

低い位置(腰より下)のマウント
これにより、腰の突き上げの影響を低減できます。
また自分の両足と相手の両足が近いため、自分の両足を相手の両足に絡めて拘束を強めることもできるため、支配力の高いポジションと言えます。

マウントポジションの選手は上記の位置に乗りたいということを念頭に観戦すると、マウントポジションの中でもより良い位置にいるのか悪い位置にいるのかが分かります。
ポジション4: バックポジション
MMAで最も有利なポジションのもう一つがバックポジションで、こちらもパウンドも関節技/絞め技も狙えます。
さらに相手の背後に回っているため、相手の死角からの攻撃が可能となります。
バックポジションからの王道の攻撃と言えばスリーパーホールドです。
相手はもちろんそれを分かっているためディフェンスしてきます。
ここで生まれる攻防は「パウンドで意識を散らしてスリーパーホールドに持っていきたいバックポジションの選手」と、「散らしに耐えながらスリーパーホールドのディフェンスに意識を集中するバックポジションを取られた選手」の構図になります。

バックからパウンドで意識を散らす状況
バックポジションは非常に有利なポジションですが、一気にスリーパーホールドが極まることはほぼないことは覚えておくと良いでしょう。
パウンドで散らしに散らして、そこで相手の意識がパウンドに行ったときに、腕を相手の喉元に滑り込ませて極まるものです。

ですから、バックポジションの選手がパウンドを打って、それに対して相手がどれだけ嫌がっているかを見ると、これからスリーパーホールドが極まりそうか否かが大体分かってきます。
以上、「試合中のチェック【寝技 ポジション編】」を説明しました。
MMAの試合を見るとスパっと決まった関節技や絞め技に注目が集まりますが、本当に強い選手は必ずポジションキープとそこからのプロセスが非常に上手いです。
ですから寝技で相手を仕留める上で関節技や絞め技の技術以上に、ポジション取りが重要だということになります。
MMAの最重要要素であるポジション取りに是非注目して観戦してください。
次回は「試合中のチェック【寝技 関節技/絞め技編】」を紹介します!
それでは明日もロジカルに!
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