MMA用語集
総合格闘技(MMA)における専門用語を解説します。
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あ行
・アームロック
相手の腕を極める関節技で、代表的な二種類がある。チキンウイングアームロックは相手の腕を相手の背中側に曲げて肩関節にダメージを与える技。V1アームロックは相手の腕を真っすぐに伸ばして肘関節にダメージを与える技で、ストレートアームバーとも呼ばれる。
・足関(あしかん)
足関節技の略。足の一部(太腿、膝、踝、アキレス腱等)にダメージを与える技で、代表的な技としてはアキレス腱固め、ヒールホールドがある。
・アップライト
直立に近い構え。打撃の対応がしやすくキックやムエタイ選手に多く見られる構え。対極はクラウチング。
・異種格闘技(いしゅかくとうぎ)
異種類の格闘技を身に付けた格闘家が闘う試合構図のこと。例えば「ボクサーvs柔道家」や「空手家vsレスラー」等がある。
・一本勝ち(いっぽんがち)
関節技や絞め技で勝つこと。技の決まり具合を見てレフェリーが判断する場合、技をかけられている選手がタップする場合、セコンドがタオルを投げる場合等がある。
・ウェルラウンダー
打・投・極のバランスがとれているだけでなく、全ての要素が高等である選手。要はオールラウンダーの上位表現。
・エキシビションマッチ
見せもの的な試合で公式記録には残らない試合のこと。スター選手同士が力を抜いて互いにダメージを与えない試合等がある。興行側としては、試合数を稼げるが選手への負担も少ないため簡単にマッチメイクすることができる。しかし公式の試合を見る側からすると物足りなく感じる場合が多々ある。
・NHB(エヌエイチビー)
No Holds Barred の略で、直訳すると「何も制約されていない」ことであることから「何でもアリの格闘技」として扱われる。
・エビ
寝技におけるディフェンス時の動きの一種。寝技で下になったときに、エビのように腰を追って相手から自分の腰を遠ざける動き。
・オクタゴン
8角形のケージのこと。UFC等が採用している。
・オーソドックス
左手、左足を前に出す構えで、反対はサウスポーという。右利きの選手はこの構えをするのが一般的である。なおボクシングやキックボクシングでも同じことが言えるが、レスリングでは右利きの選手は右手、右足を前に出すのが一般的である。
・オールラウンダー
打・投・極のバランスがとれている選手。
か行
・ガードポジション
下になった選手が両足で上の選手を拘束しているポジションのことで、グラウンド状態で最もなりやすいポジション。通常、下にいる選手(ボトムポジション)は不利とされるが、ガードポジションにおいては下の選手は上の選手(トップポジション)の自由度を奪った状態かつ下からのサブミッションに繋げやすい状態であるため、必ずしも不利なポジションではなかったり逆にこの状態を得意としている選手もいる。
・カーフキック
ローキックの一種で、ふくらはぎ(カーフ)へのキック。膝の少し上を蹴るのがセオリーのローキックの中にあってふくらはぎを蹴る技術は主流ではなかったが、近年(2021年)では有名選手が次々を取り入れるだけでなくそれで試合を決めることも多々あり、注目を浴び始めている。
・がぶり
タックルディフェンスの一つ。タックルにきた相手に覆い被さり抑え込むレスリング技術。
・カリフラワーイヤー
組技系の練習によって耳が腫れ、それが残ってカリフラワーのように盛り上がっている常態の耳。柔道やレスリング出身選手に多く見られる。
・キック
キックボクシングの略。
・キムラ
チキンウイングアームロックのこと。日本の柔道家・木村政彦がブラジルで広めたことに由来する。
・ギロチン
ギロチンチョークの略で、チョーク系の技。相手と向き合った状態で相手の頭を自分の片脇に入れて腕で首を締め付ける技。決まらないとグラウンドで下になり不利な状態になることもある。
・際(きわ)
「打投極(だとうきょく)」がそれぞれ移行する場面のこと。例えば、打撃から組み付くとき、組んで投げてから寝技に移るとき、寝技から立ち上がるとき、などの場面がある。
「打投極(だとうきょく)」をバラバラに使うのではなく、この「際」の攻防をうまく制するのが現代MMAでは極めて重要になっている。
・極める(きめる)
関節技、絞め技を仕掛けて成功すること。
・クラウチング
前傾の構え。タックルに行きやすくレスラーに多く見られる構え。対極はくアップライト。
・グラウンド
グラウンド(地面)、つまりマットに寝たり座ったりしている状態。その対極がスタンドである。
・クラッチ
自分の手と手を繋ぎ合わせること。相手に腕を取られないようディフェンスとして用いたりする。
・グラップラー
打撃よりも組技、寝技を得意とする選手。ストライカーと対極の選手。
・グラップリング
組技で戦う競技の総称で主に寝技、足関節技で戦うこと。
・クロスガード、クローズドガード
ガードポジションの中でも、下の選手が両足で相手の胴体を挟んでいる状態。
・軽量級(けいりょうきゅう)
軽い階級のこと。明確な基準はないが、65kg級程度以下を指すことが多い。
・KO/TKO(ケーオー/ティーケーオー)
KOはノックアウト、TKOはテクニカルノックアウトの略。KOはパンチやキック等の打撃技によって相手の意識が飛び試合続行不可能となる状態で、これを判断したレフェリーが試合を止める。TKOはパンチやキック等の打撃技によって相手の意識は飛んでいないが、抵抗できないもしくは抵抗する気がなくなった状態で、これを判断したレフェリーが試合を止める。
・ケージレスリング
ケージ際で倒したり倒れないようにするレスリング攻防戦のこと。ケージに相手を押し付けながら倒したり、逆にケージに背中をしっかり付けることで倒されないようにしたりする技術がある。固いケージならではの攻防戦で、リングではロープ伸びるためこの攻防戦は発生しない。
・コンテンダー
直訳すると「候補者」、つまりチャンピオンの座を狙える位置にいる選手。
・コンパス
主に選手の両脚のこと。人の両脚が文房具のコンパスに似ていることに由来する。例えば「この選手はコンパスが長い」等と使われる。
さ行
・サークリング
自分のパンチが打ちやすい場所や相手のパンチの外に移動するとき
円を描くように左右にステップするフットワーク。
・サークルケージ
円形のケージのこと。BELLATOR(ベラトール)等が採用している。
・サイドポジション
グラウンド状態で上の選手が下の選手に乗っているポジションの一つ。上から見ると上下の選手の体が直交している状態。上の選手は下の選手の足による拘束を受けないため有利なポジション。
・サウスポー
右手、右足を前に出す構えで、反対はオーソドックスという。左利きの選手はこの構えをするのが一般的である。なおボクシングやキックボクシングでも同じことが言えるが、レスリングでは左利きの選手は左手、左足を前に出すのが一般的である。
・サッカーボールキック
サッカーボールを蹴る体勢に似ていることからこう名付けられたキック。グラウンド状態の相手の頭部へのキック。世界のMMA興行では禁止されている場合が多いが、なぜか日本のMMA興行では禁止されていない場合が多い。
・サブミッション
直訳すると「服従、降伏」の意味で、格闘技全般では関節技や絞め技のこと。例えば「この試合はホイス選手がサブミッションにより勝利を収めた」等と使われる。
・サミング
相手の目を指等で突くことで、現代MMAでは反則行為。MMAで使われるオープンフィンガーグローブは5本の指先が露出しているため、キックに比べてこの行為が発生しやすい。
・塩漬け(しおづけ)
グラウンド状態で、特に有効な攻撃を仕掛けることなくトップポジションを取り続けて相手の動きを抑え込むこと。観ている側は退屈なため敬遠される傾向があるが、勝つためにこの手段をとる選手もいる。
・ジャーマン
ジャーマンスープレックスの略。スタンドで相手のバックをとり腰に両手を回してクラッチして反り投げる投げ技で、プロレス技の一種。見た目が派手なため会場を盛り上げるのに有効な技。相手の頭部をマットに打ち付けられるため、うまく決まると大ダメージを与えることができる。
・ジャイアントキリング
大番狂わせのこと。
・ジャッジ
判定する審査員。3人制が主流であるが、稀に5人制を採用する興行もある。
・シャッフル
オーソドックスとサウスポーを試合中に入れ替えること。これをすることで対戦相手を混乱させることができる。
・重量級(じゅうりょうきゅう)
重い階級のこと。明確な基準はないが、83kg級程度以上を指すことが多い。
・スイープ
グラウンド状態で下の選手が引っくり返して上を取り返すこと。リバーサルと同義語。
・スクランブル
組技、寝技の展開の中で、互いが有利なポジションを奪おうとして次から次へとポジションが変わり一定のポジションに留まらない状況のこと。
・スタンド
立っている状態。ボクシングやキックボクシングは恒にスタンドとなる。その対極がグラウンドである。
・ストライカー
組技や寝技よりも打撃を得意とする選手。グラップラーと対極の選手。
・strikeforce(ストライクフォース)
MMA興行の一種で金網の中で試合が行われる。元を辿るとキックの興行を行っていたが、2006年からMMA興行をメインとする。2011年にはUFCに統合された。
・スパー
スパーリングの略。練習相手と試合のように技を掛け合うこと。怪我しないよう手を抜いて行うのが一般的だが、ガチスパーと言って試合さながらの本気度で行うスパーもある。
・スプリットデシション
ジャッジの審査が割れた場合の判定結果のこと。例えばジャッジが3人いて、2人が赤コーナー、1人が青コーナーの選手を支持した場合、「赤コーナーの選手がスプリットデシションにより勝利した。」等と使われる。
・スラム
相手を担ぎ上げてマットに叩きつける攻撃。(「バスター」と同じ意味)
・スリーパーホールド
バックポジションをとった選手が、腕を相手の首に巻きつけて締め上げる締め技。MMAではよく見られる技で、この技を得意とする選手は身長や手足が長い場合が多い。
・外掛け(そとがけ)
自分の片足を相手の足の外側から掛けて倒す柔道技。
た行
・ダイレクトリマッチ
一度対戦した選手同士が次戦でもう一度同じ対戦相手と戦うこと。
・打投極(だとうきょく)
打撃(パンチやキック)、投げ技(背負い投げやタックル)、極め技(絞め技、関節技)のMMAにおける3要素のこと。総合格闘技興行「修斗」が、これらの3要素を融合することを理念として掲げた言葉でもある。
・タックル
相手の体を両腕で捉えて倒す技術。両足タックル、片足タックル、胴タックルが一般的。
・地下格闘技(ちかかくとうぎ)
不良上がり等のアウトロー選手達が地下で行う格闘技。しかし最近ではアウトローというイメージだけが残り、必ずしも地下で行われていなくてもこう呼ばれる場合もある。また、地下格と略される場合もある。なお地下格闘技出身の著名選手には、「朝倉未来」、「萩原恭平」等がいる。
・チャンピオンシップ
チャンピオン(王座)決定戦。
・中量級(ちゅうりょうきゅう)
中間的な体重の階級のこと。明確な基準はないが、65kg級~83kg級程度を指すことが多い。
・チョーク
「窒息させる」という和訳の通り、相手の首を絞めて窒息または失神させる技の総称。
・ツーオンワン
相手の片腕を両腕で抱える技術。
・テイクダウン
タックルや投げ技によって相手を寝かせること。
・デカゴン
10角形のケージのこと。パンクラス等が採用している。
・テンカオ
相手を掴まない状態での膝蹴りのこと。ムエタイ用語。
・トップポジション
グラウンド状態で上になっている選手のポジション。
・ドミネート
「支配する」とう和訳の通り、試合で対戦相手に思うようにさせず終始ペースを握ること。特に組技、寝技で圧倒する場合に使われることが多い。
・トラッシュトーク
試合前に対戦相手を汚い言葉で罵ったり挑発し合うこと。
は行
・バービー
タックルディフェンスの一つ。自分の両脚を後ろに投げ出し腕立て伏せのような体勢をとる動きで、相手に脚を掴ませないようにする技術。
・ハーフガード
ガードポジションが半分解けた状態のポジション。グラウンド状態で下になった選手が自分の両足または片足で、上の選手の片足だけ拘束している状態。下の選手としてはガードポジションよりも上の選手への拘束力が弱いため不利な状態。サイドポジションになりきれていないポジション。サイドポジションに似ている
・バーリトゥード
ポルトガル語で直訳すると「何も制約されていない」ことであることから「何でもアリの格闘技」として扱われる。
・ハイドレーション
水抜き減量を制限するための措置のこと。水抜きをすると尿成分が濃くなるため尿比重が大きくなるが、この仕組みを活かして尿の重さが規定値以上であった場合、過度な水抜きをしたと判断されて失格になる。この仕組みはアジア最大のMMA興行の「ONE」で導入されている。
・パウンド
相手が寝ている状態で上からパンチで攻撃する技術。
・パウンドフォーパウンド
階級差がなかったと仮定した場合に、どの選手が強いかを比較する考え方。例えばヘビー級のA選手とライト級のB選手が現実に戦ったらヘビー級のA選手が勝つ場合でも、パウンドフォーパウンドでは(両者が同体重と仮定すれば)ライト級のB選手が勝つだろうという考え方。
・パスガード
グラウンド状態で下の選手がクロスガードをとっているときに、上の選手が下の選手の両足の拘束を解いて跨ぎ、より有利なサイドポジションやマウントポジションに移行すること。
・バスター
相手を担ぎ上げてマットに叩きつける攻撃。(「スラム」と同じ意味)
・バックボーン
MMAファイターになる前に習得していた格闘技の種目のこと。例えば「A選手のバックボーンは空手」等のように使う。しかし現代ではバックボーンなしに最初からMMAを習得するケースも珍しくない。
・バックポジション
相手の背後に回って片脚もしくは両脚が相手の胴に絡んでいる状態。
・バッティング
頭と頭がぶつかり合うこと。現代MMAでは故意の場合は反則行為。
・判定勝ち/負け
所定ラウンド内で、KOもしくは一本で勝敗が付かない場合、その勝敗をジャッジが審査して決めた勝敗のこと。
・ファールカップ
金的攻撃があった場合、致命傷を避けるための防具。ただし重量級の選手等で特に攻撃が強いとファールカップ自体が割れてしまうこともある。
・フィニッシャー
判定まで行かず、KOもしくは一本勝ちで試合を終わらせられる選手。
・ボトムポジション
グラウンド状態で下になっている選手のポジション。
ま行
・マウントポジション
トップポジションの中でも相手の胴に跨り馬乗りになっている状態。
・メガジム
大規模なジムのこと。MMAのジムの場合、打撃、組技、寝技それぞれの専属コーチがいたりフィジカルトレーナー等がいる場合が多く、一つのジムで全ての要素を向上することができる。日本にはほとんどないが、アメリカ等のMMA先進国が中心である。
・ミドルキック
相手の胴回りを蹴る技。ミドルとも略される。
や行
・ユナニマスデシション
ジャッジ全員が同じ選手を支持した場合の判定結果のこと。例えばジャッジが3人いて、3人全員が赤コーナーの全員を支持した場合、「赤コーナーの選手がユナニマスデシションで勝利した。」等と使われる。
・ユニファイドルール
直訳すると「統一されたルール」で、UFCを中心に興行間の統一性を持たせるために定められたルール。要はUFCルールのことで、各国のMMA興行は徐々にこのユニファイドルールに合わせる動きが出ている。
・四つ(よつ)
立って組んだ状態の一つ。互いに片方の腕で相手の脇を差している状態。例えば、自分の左腕を相手の右脇下に差し込み、自分の右脇下も相手の左腕で差されている状態。四つ組(よつぐみ)とも言う。
・四点(よんてん)ポジション
グラウンド状態の中でも、右手・左手・右脚(右膝)・左脚(左膝)の四点がマットに付いた状態。四つん這い等がそれにあたる。
ら行
・ラウンドマスト
判定基準の種類。各ラウンド毎に採点しそれらを全ラウンド足し合わせた合計で勝敗判定すること。例えば3ラウンド制の試合であれば、1ラウンドは9-8で赤コーナーの選手、2ラウンドは10-9で赤コーナー選手、3ラウンドは7-10で青コーナーの選手、合計26-27で青コーナー選手の判定勝ちとなる。ラウンドマストでない判定基準には特に名前がないが、全ラウンドを通して採点をする仕組みになっている。
・ラッシュガード
サーフィン等でも使われる衣類。身体に密着するため、格闘技のようなコンタクトスポーツでも競技の妨げになりにくい。グラップリングの試合で使われたり、あるいは放送の都合上、タトゥー隠しとして着用する場合がある。
・ランカー
各興行が制定しているランキングに入っている選手。ランキングは各階級で1~10位まで制定されているのが主流。(1位の上がチャンピオン)
・リカバリー(試合前)
計量を終えた後に飲食することで、減量した体重を元に戻す行為。このため、試合時には計量時に比べて1割程度増量している場合が多い。
・リカバリー(試合中)
負ったダメージが回復する状況のこと。
・リバーサル
グラウンド状態で下の選手が引っくり返して上を取り返すこと。スイープと同義語。
・リリース
興行主から契約を打ち切られること。例えばUFCで活躍できず契約を打ち切られた場合、「選手がリリースされた」という使い方をされる。
・リング
四角形のマットで四辺がロープで囲まれた闘技場のこと。MMAはリングかケージで行われ、リングはケージに比べて観客から見やすい反面、ロープの隙間から選手が場外に出てしまうアクシデントが起こりやすい。四角形なのにリング(輪)と呼ばれている理由は諸説あるが、最有力説は元々闘技場が円形であったことに由来するものである。
・レガース
スパーリングやエキシビションマッチ等で、キックによる怪我を防ぐため脛に巻く防具のこと。
・レスラー
レスリング技術(タックルや抑え込み等)に長けている選手。
・ローキック
相手の脚をキックする技術。
・ロートル
中国語で「老人」を意味する。MMAでは否定的に使われ、例えば昔からいて今では弱くなってしまった選手を指す場合が多い。
・ローブロー
金的攻撃のことで、現代MMAでは反則行為。ローキックによるものが多い。
わ行
・1DAY(ワンデイ)トーナメント
1大会でトーナメントを行いその日のうちに優勝が決まる。例えば8人出場する1DAYトーナメントだったら、優勝するには一日で3連勝しなければならない。
・ワンマッチ
1大会で1試合だけ行うこと。ほとんどの試合がこの形式。これ以外にはトーナメント形式等がある。